ホテルの売却ガイド|価格の決まり方・流れ・高く売るための準備とは?

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「このホテル、いつまで続けられるだろうか」。建物の老朽化、人手不足、次の設備投資——ホテルのオーナーが手放すことを考える理由は、経営不振だけではありません。むしろ今は、業績が良いうちに売るという判断をするオーナーが増えています。

数字がそれを物語っています。2025年の訪日外国人は4,268万人と過去最多、旅行消費額は9兆4,559億円と過去最高を更新しました(日本政府観光局・観光庁)。旅館・ホテル市場の売上高は6.5兆円と4年連続で過去最高です(帝国データバンク)。一方で同じ年、宿泊業は倒産89件・休廃業178件、あわせて267件が市場から退出しました——需要が史上最高なのに、退出も増えている。これが今のホテル業界の実態で、分かれ目は「設備投資と承継ができるか」にあります。

この記事では、ホテルの売却を考え始めたオーナーに向けて、「価格はどう決まるのか」「どうすれば高く売れるのか」「運営や建物はどう扱うのか」を、専門用語をかみくだいて解説します。

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ホテルは今、高く評価される環境にある

売却を考えるうえで、まず市場の追い風を押さえておきましょう。

ホテルへの投資マネーは戻っています。ホテルの投資取引額は2024年に約9,000億円と過去最高水準を更新(価値総合研究所)。2025年は取引額こそ落ち着いたものの、ヒルトン福岡シーホーク(約643億円)などの大型取引が成立し、投資意欲は引き続き強いと分析されています(コリアーズ調べ)。買い手は国内の運営会社・投資家に加え、海外の投資家やファンドにも広がっています。

そして稼働の数字も良好です。2025年の客室稼働率はビジネスホテル75.3%・シティホテル74.2%と前年から上昇し(観光庁・宿泊旅行統計)、客室単価も前年比10%超の伸びが続いています(JLL調べ)。収益が伸びている時期のホテルは、買い手にとって「欲しい資産」です。売却の検討は、業績が落ちてからではなく、数字が良いうちに始めるのが鉄則です。

ホテルの売却価格はどう決まるか|2つのレンズ

ホテルの価格の見方には、大きく2つの「レンズ」があります。どちらで評価されるかは、物件の性格で変わります。

レンズ①:収益還元——「年間の儲け ÷ 利回り」

ホテルのように収益を生む不動産は、「その物件が1年間に生む利益が、価格の何%にあたるか」という考え方(利回り)で評価されるのが基本です。計算はシンプルです。

価格の目安 = 年間の純収益 ÷ 買い手の期待利回り

たとえば、年間の純収益(売上から運営費を引いた利益)が2,000万円で、買い手が「5%の利回りは欲しい」と考えるなら、2,000万円÷5%=4億円が価格の目安になります。

期待利回りの水準は、専門機関の調査で公表されています。2025年10月時点で、宿泊特化型ホテルの期待利回りは東京4.2%・大阪4.5%(日本不動産研究所・不動産投資家調査)。地方はこれより高くなる(=同じ収益でも価格は下がる)のが一般的です。利回りが低いほど価格は高くなるので、いま都市部の利回りが歴史的な低水準にあることは、売り手にとって追い風です。

レンズ②:事業価値——「資産+利益の数年分」

会社や事業ごと譲る場合は、「時価純資産+営業利益の2〜5年分」という事業承継型の評価が使われます。この考え方の詳細は、旅館の売却を考えたら最初に読む記事で平易に解説しています。

どちらのレンズで見るかは、収益が安定しているか(→収益還元)、資産や再生余地が主な価値か(→事業価値・不動産価値)で変わります。両方で試算し、高い方を軸に交渉するのが売り手の定石です。

赤字でも道はある——「不動産として売る」という選択肢

収益が赤字で、事業として値が付きにくい——その場合でも、売却をあきらめる必要はありません。土地・建物・設備という不動産としての価値に注目する買い手がいるからです。立地や温泉、建物の再生余地に価値を見いだす買い手にとって、現在の損益は決定的な問題ではありません。収益還元で売れる物件はその方式で、そうでない物件は不動産として売る——この使い分けができるかどうかが、売却の成否を分けます。

類型別の売却ポイント

ホテルはタイプによって、買い手層も評価のされ方も違います。

  • ビジネスホテル:稼働率75.3%(2025年・全タイプ中最高)と収益が安定しており、利回り計算がしやすいため、投資家・ファンド層に最も売りやすいタイプです。駅からの距離と直近の稼働データが評価の中心になります
  • リゾートホテル・温泉ホテル:稼働率56.9%と季節変動が大きい分、運営の工夫で伸ばせる「再生余地」が評価されます。温泉・眺望・敷地などの資産価値と、インバウンド需要の取り込み余地が価格を左右します
  • シティホテル:稼働率74.2%。立地そのものの希少性が評価の核で、大型物件はファンド・海外投資家が主な買い手です

小規模な旅館・宿の場合は評価軸が異なるため、旅館編の記事をご覧ください。

高く売るための準備5つ

買い手は「数字で判断できる物件」に高い値を付けます。売却の半年〜1年前から、次の準備を進めましょう。

  1. 月別の稼働率・客室単価を整理する:直近2〜3年分。季節変動が見える資料は、買い手の不安を減らし価格を守ります
  2. 修繕履歴と設備の状態をまとめる:いつ・何を直したか。先送り中の修繕も正直に開示する方が、後の値引き交渉を防げます
  3. 契約関係を棚卸しする:運営委託・テナント・リネンや食材の取引先・予約サイトとの契約条件
  4. 許認可書類を揃える:旅館業許可証・消防関係・建築確認。営業許可の引き継ぎも制度上可能です
  5. 情報の鮮度を保つ:古い写真・古い収支のままでは、実力より安く見られます

売却の流れと期間

進み方は「相談→価値の評価→買い手探し→基本合意→買収監査(デューデリジェンス)→契約→引き渡し」の7ステップで、旅館と共通です。各ステップの詳しい中身と注意点(囲い込み・手数料・秘密保持)は旅館の売却を考えたら最初に読む記事にまとめています。

REYADOでは不動産仲介の取引をベースに、調べる項目を必要なものに絞るため、標準的なケースでご相談から成約まで3か月以内を目安としています。

運営を任せたまま売る・建物のまま売る

ホテルならではの売り方が2つあります。

オペレーター(運営会社)契約付きで売る

運営を外部に任せている、あるいはこれから任せる形にして売る方法です。代表的な形は2つ——賃貸借契約(運営会社が建物を借り、オーナーは賃料を受け取る)とMC契約(運営だけを委託し、収益はオーナーに帰属)。

特に賃貸借契約付きの物件は、買い手から見ると「安定した賃料収入が付いた収益不動産」になるため、利回り計算がしやすく、投資家・REITに売りやすくなります。ホテル経営の経験がない買い手にも間口が広がるため、買い手の数を増やす=価格を守る有効な選択肢です。

更地にせず、建物のまま売る

「古いから壊してから売るべきでは」と考える方がいますが、先に自己負担で更地にするのは慎重に。ホテルの解体費はRC造(鉄筋コンクリート造)でおおむね坪12〜16万円が目安とされ、延べ200坪なら3,000万円近くかかる計算です。一方、買い手が旅館業の既存許可や建物の再生に価値を見いだせば、建物ごと・現況のまま売れる可能性があります。REYADOでは「不動産としての価値」を軸に現況のまま売買を組み立てる方法をとっており、赤字や休業中でも取引が成立する場合があります。壊すかどうかは、売却の選択肢を比べてから決めても遅くありません。

どこに相談すればいいか

ホテル売却の相談先として最初に思い浮かぶのは、M&A仲介会社かもしれません。数十億円規模の大型ホテルはもちろん、赤字のホテルでも、立地やブランド力、再生の余地が評価されれば、事業ごと(M&A)で買い手が付くケースはあります。

ただし知っておきたいのは、手数料の構造です。M&A仲介では着手金や中間金に加えて「最低手数料」が設定されていることが多く、その水準は会社によって数百万円から数千万円規模まで幅があります。数千万円〜数億円規模の中小ホテルでは手数料が売却額に対して重くなりやすく、規模が小さく赤字が続く案件は、成約可能性の観点から大手仲介には敬遠されやすいのが実務です。

つまり、分かれ目は「あなたのホテルの価値がどこにあるか」です。

  • 立地・ブランド・再生余地が強いホテル:事業価値込みで評価されるため、手数料を払ってもM&Aで売る選択肢に検討の価値があります
  • 事業としての改善余地が乏しく、価値の中心が土地・建物にあるホテル:M&Aで上乗せできる事業価値が薄く、手数料に見合いにくいタイプです。この場合は不動産の売買として売る方が、手取りの面で合理的になりやすくなります

不動産として売る場合、会社の損益ではなく土地・建物・設備の価値で買い手を探すため、赤字でも取引が成立する余地があり、費用も不動産仲介の手数料体系(宅地建物取引業法で上限が定められています)に収まります。

REYADOは、この「不動産として売る」方法を軸に、旅館・ホテル・一棟貸しの売買を専門とする宅地建物取引業者です。売り手の方に対して、4つのことをお約束しています。

  • 費用は仲介手数料のみ:着手金・中間金・最低手数料は一切いただきません。費用は不動産売買の仲介手数料(宅地建物取引業法の上限の範囲内・完全成功報酬)のみで、売れなければ費用はかかりません
  • 赤字・休業中でもご相談いただけます:収益で値が付きにくい物件は、不動産としての価値で売る道を一緒に探します。「うちは無理だろう」と思われていた施設で取引が成立することは珍しくありません
  • 従業員の雇用引き継ぎを買い手と調整します:人手不足のいま、現場を知るスタッフは買い手にとっても貴重な資産です。長年支えてくれた従業員の雇用維持を希望条件として、買い手探しと交渉を行います
  • 誠実に進めます:買い手側からの買収監査(デューデリジェンス)には、資料のご提供などのご協力をお願いしています。隠さず開示することが、買い手の安心と信頼を生み、結果的に良い条件と早い成約につながるためです

囲い込みはせず、国内に加えて海外の買い手候補にもリーチします。お取り扱いは譲渡希望額6,000万円規模からです。

まとめ

  • ホテルの価格は「収益還元(年間純収益÷利回り)」と「事業価値」の2つのレンズで決まります。どちらでも値が付きにくい物件には「不動産として売る」道があります
  • 都市部の期待利回りは歴史的低水準=売り手有利。数字が良いうちの売却検討が鉄則です
  • 稼働率・単価・修繕履歴を整理した「数字で判断できる物件」が高く売れます
  • 賃貸借契約付き売却や現況のままの売却など、買い手を増やす売り方があります

売るかどうか、まだ決めていなくても構いません。「うちはいくらになるのか」「赤字でも買い手は付くのか」——その確認だけでも、無料でご相談いただけます。相談したからといって、売却を勧めることはありません。判断の材料を揃えるところから、一緒に始めましょう。

監修:株式会社REYADO(宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第33154号)

よくある質問

ホテルの売却価格は何で決まりますか?

収益を生むホテルは「年間の純収益÷買い手の期待利回り」という収益還元の考え方が基本です。たとえば年間純収益2,000万円・期待利回り5%なら4億円が目安です。期待利回りは2025年10月時点で東京4.2%・大阪4.5%(日本不動産研究所調べ)で、地方はこれより高くなります。資産や再生余地が主な価値の場合は、事業価値や不動産価値での評価になります。

ビジネスホテルとリゾートホテルでは、売りやすさに違いがありますか?

あります。ビジネスホテルは稼働率が高く(2025年は75.3%・観光庁調べ)収益が安定しているため、利回りで判断する投資家に売りやすいタイプです。リゾートホテルは季節変動が大きい分、温泉・眺望などの資産価値と「運営を変えれば伸びる余地」が評価されます。どちらも、月別の稼働と単価の資料を整えることが売りやすさに直結します。

運営会社(オペレーター)に任せたまま売却できますか?

できます。賃貸借契約(運営会社が建物を借り、オーナーは賃料を受け取る形)が付いたホテルは、買い手から見ると安定収入付きの収益不動産となり、むしろ売りやすくなります。運営だけを委託するMC契約のまま引き継ぐ形もあります。契約内容の整理が価格に影響するため、売却前に契約条件を棚卸ししておくことをおすすめします。

廃業して更地にしてから売るのと、ホテルのまま売るのは、どちらが良いですか?

まずは建物のまま売る選択肢を検討することをおすすめします。ホテルの解体費はRC造で坪12〜16万円が目安と高額で、先に自己負担で壊すと手取りが大きく減ります。買い手が既存の営業許可や建物の再生に価値を見いだせば、現況のまま売れる可能性があり、解体するかどうかは買い手側の計画に委ねる方が合理的な場合が多いためです。

ホテルを売却したら、どんな税金がかかりますか?

個人が不動産として売る場合は譲渡所得への課税で、所有期間5年以下なら39.63%、5年超なら20.315%です(国税庁)。法人の場合は売却益が他の損益と合算されて法人税等の対象になります。売り方(不動産売買・事業譲渡・株式譲渡)で税負担は変わるため、手取り額の試算は売却方針を決める前に税理士へ相談することをおすすめします。

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